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【浅井塾コラム】 #12 研修委託会社の選定法

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2024.12.10

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HRラボでは、人事・キャリア支援者のための実践塾「浅井塾」塾長浅井の経験と深い考察をもとに、 実践的な知見をお届けする場としてコラムを定期発信しています。キャリア支援者や企業人事の皆さまが直面する課題に対し、新たな視点や実践的なヒントを提供することを目指しています。

 

今回のテーマは、「研修委託会社の選定法」です。

 

研修プログラムはどこも同じ

「研修を社外に委託しようと考えています。お勧めの会社をいくつか教えていただけませんか?」 「研修の委託会社を選定したいのですが、どういうプログラムが良いと思われますか?」 8 社外講演で受講者から発せられる定番の質問です。こんなことを言うとコンサル会社やラーニング会社に失礼かもしれませんが、私の答えは「どこでやっても同じ」です。

研修プログラムはどこも同じ

「研修を社外に委託しようと考えています。お勧めの会社をいくつか教えていただけませんか?」
「研修の委託会社を選定したいのですが、どういうプログラムが良いと思われますか?」

社外講演で受講者から発せられる定番の質問です。こんなことを言うとコンサル会社やラーニング会社に失礼かもしれませんが、私の答えは「どこでやっても同じ」です。過去を振り返り、自分の強みと価値観を見つけ、これからの情勢をもとに危機感を煽り、キャリアビジョンを描いたうえで、ビジョン達成のための行動計画を立てる。多少のメニューと手法の違いはあるにせよ、ベテラン社員のモチベーションを上げるための王道プログラムにどの会社も大差はありません。

コンサル会社やラーニング会社に言わせれば、その手法を売りにしているのでしょうが、「この手法が絶対に効果があります!」というものがあれば、逆にどの会社も同じ手法に偏るはずです。結局、どの会社も試行錯誤しながらやっているのです。

もし、この会社の研修が素晴らしいと突出したものがあるなら、恐らくその会社の前には各企業の人事担当者の行列ができ、研修をやってもらうためには5年待ち、なんてことになるはずです。すべてのコンサル会社、ラーニング会社に営業の人間がいたり、コンペの声掛けをすると二つ返事で参加してきたりするということは、放っておいても受注が途切れない絶対的な研修会社などないという証拠です。

研修満足率90%を切る研修など存在しない

私は今の研修を2014年度から開始していますが、その前年に5社に声をかけ、コンペを行いました。声をかけた5社というのは、以前、私が労働組合役員の教育を行ったときにお付き合いさせていただいたコンサル会社から紹介いただいた2社と人事担当者なら誰もが知っている大手の研修会社3社です。

各社からプレゼンを受けましたが、案の定、どの会社も決め手に欠きました。当時、私は人事のド素人だったので、「この手の研修はどの会社に提案してもらっても同じだ」という感覚がありませんでした。したがって、プレゼンで最も期待が持てそうだと思ったところに決めようと思っていたのですが、各社大差なく、その思惑が崩れました。

「これは1社に絞るのが大変だ」と悩んでいると、最後にプレゼンした会社が「弊社のこの研修は、受講者の満足率90%以上を常に確保しています」とアピールしたのです。
満足率・・・? そういえば、自分が労働組合で研修を開催したあと、必ず満足率アンケートを取っていたなぁ・・・。でも、何十回も研修をやったけど「大変満足した」と「満足した」で100%近い数字だったよなぁ・・・。満足率90%を切るような無様な研修なんて、そもそも存在するのか?

これは“湯上り効果”というものです。受講生は研修講師からそれなりの刺激を受けているので、直後にアンケートを取れば、みんなが「満足した」と答えてしまうのです。

「委託費は半分でいい」

そう思った私は、各社にこんな質問をしました。

「もし満足率90%を切ったとき、あなたたちはどんな保証をしてくれますか?」
そうしたところ、4社からは「そうならないようにがんばります」という回答でした。保証を質問したのに、ごまかされた格好です。

そんな中、A社だけ「委託費を半分に減らしてもらって結構です」と言ったんです。A社というのは労働組合時代にお付き合いがあった会社から紹介された会社でした。恐らく過去の経験から下手な研修をやっても絶対に90%は切らないという確信があったのでしょうが、それでも、そういう啖呵を切ってくるところに私は惹かれるものを感じました。

コンペはその日で結論を出さず、他にいくつか共通の注文を付け、各社に再度企画書を提出するよう求めました。資料の再提出はメールで受け、書類審査をし、審査合格した会社から、再度プレゼンを受けることとしました。

メール送信時間で判断する企業文化との一致

提出期限の日、夕方の17時にA社から資料が届きました。続いて20時に業界最大手のB社。残る3社は夜中に送られてきたことを翌朝確認しました。徹夜でがんばってくれたのか、本当は資料ができていたにも関わらず「御社のために徹夜しました」というアピールのためだったのかわかりませんが、私にとってその理由は関係ありません。

「この日まで」と決めたのであれば、その日の18時までが私の期限です。それがNTTコミュニケーションズの文化なので、A社のみが会社の文化と一致したわけです。B社は期限を少々オーバーしていますが、まぁ、許容できる範囲。そして、夜中の0時に送ってきたC社も18時ころ、「あと数時間、お時間をいただけませんか。今夜中には送ります」というメールが飛んできたので、C社もギリギリ企業文化の一致を確認しました。

この資料送付の時間や各社の態度により、企画書を見ることなく、企業文化が一致しなかった2社にはお引き取り願いました。

絶対に譲れないもの

3社による2度目のプレゼンが始まりました。C社→B社→A社の順でプレゼンを受けました。各社、何カ所かイメージが合わない部分があったので、1つずつ質疑を繰り返していき、何問目かの質問をしたときです。

浅井 「3社とも研修の最初の導入部分の時間が長すぎると思っています。半分にすることは可能ですか?」
C社 「NTTコミュニケーションズさんのおっしゃるとおり、どういう風にでも変更させていただきます」
B社 「大丈夫です。どの部分を削りましょうか?」
A社 「5分、10分程度なら短くできますが、半分となるとできません。

弊社は導入に1時間かけてでもアイスブレイクを通じ、講師と受講生が打ち解けあうことで研修効果を高める。これが弊社の真骨頂なんです。NTTコミュニケーションズさんが、そこは譲れないとおっしゃるのであれば、我々はこのコンペから降ります」

パートナーは相性で決める

A社のコメントでコンペの勝者は決定です。これまでコンペというものを私はそんなにたくさん経験したことがあったわけではないですが、それでも5、6回は経験しています。しかし、こんなにビビッと来たことは初めてでした。

自分たちのブレない軸を持っている。そして、それがダメだと言われるのなら、すんなりと身を引く潔さ。もうA社以外考えられないと思ったのでした。

「研修を社外に委託しようと考えています。お勧めの会社をいくつか教えていただけませんか?」
「研修の委託会社を選定したいのですが、どういうプログラムが良いと思われますか?」

冒頭のこの質問に戻りますが、結局、一緒に仕事をしていくパートナー選びは、プログラムの内容でもなく、他企業への導入実績でもありません。
「一緒に仕事をしたい」「あなたとなら良い仕事ができるような気がする」という“相性”で決めるのがいちばんだと思います。

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